冬になると「底が汚れてきた」「コケが目立つ」「一回リセットしたい」と、掃除したくなる瞬間が増えます。ところがメダカ飼育では昔から“冬は掃除しない方がいい”と言われがち。これは放置推奨というより、冬は掃除のリスクが上がる季節だからです。今回はその理由と、冬掃除が難しいポイントを初心者向けに整理します。

1. 冬は“バクテリアの復旧が遅い”
水をきれいに保つ主役は、フィルターだけではなく、容器の壁や底、ろ材にできるバイオフィルム(ぬめりの膜)や微生物の集団です。ここがフンや残餌などの有機物を分解して水質を支えています。
冬は水温が低く微生物の活動が落ちるため、いったん掃除でこの“処理班”を減らしてしまうと、元に戻るまで時間がかかる。夏なら数日で立ち直ることが、冬はじわじわ崩れていく…というパターンが起こりやすいのです。
2. “きれい”にすると、水が急に不安定になることがある
底にたまる茶色い汚れは、単なるフンだけではなく、微生物の死骸や分解途中の有機物などが混じったデトリタス(堆積物)のことが多いです。もちろん溜めすぎは良くありませんが、これが少しあることで水は緩衝材のように安定します。
冬に底砂をガッツリ掃除して全部さらうと、急に“水が痩せる”ような状態になり、微生物バランスが崩れて水質が揺れることがあります。
3. 冬の最大リスクは“水温ショック”
冬の掃除=水を触る機会が増える=水温がブレやすい、という構図です。特に屋外は、同じ日に汲んだ水でも容器の水と温度が違ったり、日中と夕方で差が出たりします。
メダカは低水温期ほど動きが少なく、体力回復もゆっくり。だからこそ、小さな温度差が負担になりやすい。これが「冬は触りすぎない方がいい」と言われる大きな理由です。
4. 底をかき回すと“舞い上げリスク”がある
冬に底砂を触ると、溜まっていた汚れが舞い上がり、一時的に水が濁ったり、アンモニアなどが増えやすくなったりします(環境によりますが、起きやすいのは事実)。
夏ならメダカも微生物も動いてリカバリーしやすいのに、冬は回復が遅い。結果として、掃除がきっかけで調子を崩すケースが出てきます。

じゃあ冬は何もしない?最低限の正解
「掃除しない」の意味は、“ゼロ”ではなく優先順位を変えることです。冬にやって良いのは次の3つだけで十分。
- 落ち葉の回収:腐敗の原因になりやすいので最優先
- 食べ残しがある時だけ吸い出す:スポイトや細いホースで静かに
- 異臭・白濁など異変がある時だけ少量換水(1〜2割):ゆっくり短時間で
コケは見た目が気になりますが、冬は“住処”にもなるので、やるなら気になる面だけ半分こする程度がおすすめです。
まとめ:冬掃除が難しいのは「回復が遅い季節」だから
冬は、微生物もメダカも動きがゆっくりで、環境の変化に対する復旧が遅くなります。だから、きれいにしたつもりが水を不安定にし、結果として不調につながることがある。これが「冬は掃除しない方がいい」と言われる理由です。
やるなら“原因だけ静かに取る”。落ち葉と残餌を中心に、変化を小さく。冬は掃除の腕より、見守りの引き算が越冬成功の近道です。
