今日はメダカ飼育で大事な遺伝の固定について説明していきたいと思います。多分、今回だけでは説明しきれないので、数回に分ける予定です。メダカの遺伝の固定を知っておくことは、ほしいメダカをたくさん増やす鍵になりますので、ぜひ読んでみて下さい!
どうすれば伝わるかなと思い、ストーリー仕立てにしました!

和墨を飼いはじめた2人の兄弟
ある日、兄弟が町のメダカ屋さんで「和墨メダカ」を見つけました。
白い体に黒い墨を落としたような模様が、とても美しくて印象的。
兄:「この模様、かっこいいな!飼ってみたい!」
弟:「ぼくも!兄ちゃん、どっちが立派に育てられるか勝負だね!」
こうして二人はそれぞれの水槽に和墨を迎え入れ、育て始めました。
数か月後、親メダカが産卵をはじめ、次々と稚魚が生まれていきます。
ところが……
- 弟の水槽には、次々と和墨らしい模様を持った稚魚が泳ぎだしました。
まるで水槽全体が小さな墨絵のよう。 - お兄ちゃんの水槽から生まれてきたのは、なぜか「オロチ」や「ブラックリム」など、真っ黒なだけで和墨模様のない個体ばかり…。
兄:「おかしいな。同じ和墨なのに、なんでうちだけ違うんだ?」
弟:「へへ、やっぱりぼくの方が育て方が上手なんだよ!」
お兄ちゃんは少し悔しそうに首をかしげました。
でも、実はここには “遺伝の固定” という大きな違いが隠されていたのです。
なぜ結果が違うのか?
実は、この違いのカギになるのが 「遺伝の固定」 です。
- 弟の和墨は、すでにブリーダーさんのところで兄妹交配を繰り返して固定された系統でした。
だから産まれてくる子のほとんどが「和墨」になります。 - お兄ちゃんの和墨は、まだ固定が進んでいない個体だったのです。
親は和墨に見えても、血の中にはオロチやブラックリムの遺伝子が残っていたので、バラバラの子が出てしまったのです。
このように一見、メダカ屋さんで、綺麗!と思ったメダカでも、その子どもにも孫にも特徴がちゃんと現れるかは、遺伝が固定されているか?によります。遺伝が固定されていなければ、このストーリーのお兄ちゃんのように特徴を次々出し続けるのは難しいのです。
遺伝の固定とは?
メダカの世界で言う「固定」とは、
交配して生まれる子どものほとんどが同じ特徴を持つようになった状態を指します。
そのためには、
- 兄妹交配を繰り返して特徴を強める
- 目的の形質を持つ個体だけを選んで繁殖させる
こうした地道な作業が必要になります。
「遺伝の固定」とは、兄妹交配を繰り返して、その特徴を安定させることなんです。
次回は遺伝の固定の方法をもう少し詳しく解説します!!