冬のメダカ飼育でよく聞くのが、「同じように飼っているのに、冬でも水が安定する人と、なぜか崩れる人がいる」という話。餌も控えめ、水換えも少なめ…それなのに、片方はピンピン、片方は白濁や不調が出る。
この差を生みやすいのが、じつは“バイオフィルム”です。冬の安定は、設備よりも「見えない膜」を味方につけられるかで決まりやすい。初心者向けに、分かりやすく解説します。

バイオフィルムって何?
バイオフィルムは、容器の壁、底、ろ材、水草、石などの表面につくぬめり(薄い膜)のこと。
この中には、バクテリアや微生物がたくさん住んでいて、フンや残餌などの有機物を分解し、水質を安定させる“処理班”になっています。
ポイントは、フィルターがなくても飼える理由の一部がここにある、ということ。屋外容器で冬越しが安定しやすいのも、壁や底に“処理班”が住み着きやすいからです。
冬に差が出る理由:バイオフィルムは“戻りが遅い”
春夏は、水温が高く微生物の働きも活発なので、多少掃除しても復旧が早いことがあります。
でも冬は水温が低い分、微生物の活動が鈍く、バイオフィルムが育ち直すのに時間がかかる。つまり、
- 安定する人:バイオフィルムを守り、働かせ続ける
- 崩れる人:掃除や水換えでバイオフィルムを削り、復旧が間に合わない
という構図になりやすいのです。
「崩れる人」が冬にやりがちな行動3つ
1)壁のぬめり・コケを“徹底的に”落とす
見た目をきれいにしたくて、スポンジで壁面をゴシゴシ。実はこれ、処理班の住処を丸ごと減らしています。
冬は特に「きれいにした直後に白濁」「数日後に調子が落ちる」が起きやすいので注意。
2)底砂をかき回して“リセット”
底掃除で舞い上げると、溜まっていた汚れが一気に水中へ。さらにバイオフィルムの層も崩れがちです。
冬は回復が遅いので、掃除のつもりが“水を不安定にするイベント”になりやすいです。
3)水換えを多めにして安心しようとする
冬は水が澄みやすく、ちょっとした匂いや油膜が気になって換えたくなります。
でも大量換水は、水温差だけでなく、水中の微生物バランスも変えます。冬は「換えるほど不安定」という逆転現象が起こりがち。
「安定する人」がやっている冬の流儀

1)掃除の目的を“見た目”から“原因除去”に変える
冬の掃除は、ピカピカにすることではなく、悪化の原因を減らすこと。
具体的には、最優先は落ち葉と食べ残しの回収。これだけで十分なケースが多いです。
2)バイオフィルムは“落とさない”、どうしてもなら“半分だけ”
コケやぬめりが気になっても、一気に全部落とすのではなく、
- 正面だけ軽く
- 半分だけ
- 目立つところだけ
というように、残すのがコツ。処理班をゼロにしない工夫です。
3)水換えは「少量・ゆっくり・理由がある時だけ」
冬の基本は、1〜2割をゆっくり。匂いが強い、泡が消えない、白濁が続くなど、明確な理由がある時だけに絞ると安定します。
冬にバイオフィルムを“味方にする”チェックリスト
- 落ち葉が沈む前に取れている
- 餌は「迷ったら減らす」で残さない
- 壁や底をゴシゴシしすぎていない
- フィルター掃除は飼育水ですすぐ程度(必要な時だけ)
- 水換えは少量で、温度差をできるだけ作らない
これができると、冬の水は驚くほど安定しやすくなります。
まとめ:冬の勝ち筋は「ぬめりを敵にしない」
冬に水が安定するか崩れるかの分かれ道は、見えないところにあります。
バイオフィルムは汚れではなく、水を守る仕組みの一部。冬はその復旧が遅いからこそ、守った人が勝ちます。
きれいにしすぎず、原因だけ静かに減らす。冬は“掃除の引き算”で、メダカにも水にも優しい飼育をしていきましょう。
