※あくまで屋外飼育を前提とした話です。あと、豪雪地帯、冬にマイナスの気温近くになる地域を想定しています。
これからいよいよ本格的な秋の到来という頃。冬に備えてやるべきことはたくさんあります。多くの方が実際に寒くなり、あるいは実際に暖房に火をともした頃に「あ!メダカも冬の準備をしなきゃ!」とおもうわけですが、時すでに遅しなことが多いのです。
秋になったらまずやってほしいのが「冬用の容器に引っ越す」というものです。NBOXとか、100均の容器などに飼っている方が多いかもしれません。そして成魚の場合は、「1-2リットルに1匹」程度の密度で購入されている方が多いと思います。
冬になったら、次の2つが鉄則になります。
・深さは最低30cmは欲しい!
・約5リットル(最低でも3リットル)に1匹の飼育密度。
最低30cm以上の深さの容器
では、まずどの程度の容器が必要でしょうか?
寒冷地の屋外(氷結あり):最低25–30cm、できれば40–60cm
→ 氷が張っても水底が4℃前後を維持しやすく、メダカの越冬スペースが確保できます。
温暖地の屋外(氷が薄く張る程度の地域):20–30cm以上
水量の目安:小型容器なら30–60L以上あると温度の急変を抑えやすい(深さだけでなく“容積”も大事)。大体こんな感じです。
なぜ深い容器が必要なのか?
では、なぜ”深い”容器が必要なのでしょうか?ちゃんと理由があります。
- 温度の安定(熱容量・成層)
- 水は4℃で最も重くなるため、深い容器ほど底に4℃前後の層ができやすく、致死的な低温を避けられます。浅い容器は夜間放射で一気に全層が冷え、凍結リスクが上がります。
- 凍結時の安全マージン
- 表面が数センチ凍っても、下層に液体の水域が残りやすい。浅い容器だと全面凍結→窒息・圧死の危険が高まります。
- 酸素・有害ガス管理
- 深さと容積があるほど酸素の貯えが増え、CO₂/硫化水素の蓄積を抑えやすい。表面の一部を解氷できればガス交換も確保。
- 寒波・日較差の緩衝
- 表面積/体積比(SA/V)が小さくなるため、急激な水温変化が起きにくい。メダカの体力温存につながる。
- 物理的ストレスの軽減
- 雪載荷や風波でも底層の静穏域を確保でき、魚の消耗を防げます。
ということです。つまり、仮に表面が凍ったとしても、下の方で魚たちが無事暮らせるために十分な深さが必要ということです。
秋から準備しなければならない理由
深い容器、冬に準備して引っ越せばいいのではないか?と思うかもしれません。しかし、今の季節はすでに温度変化が激しいです。これが冬本番になるとさらに激しくなります。水温も下がり、餌もあまり食べず、ただでさえメダカちゃんたちの体力が落ちてしまいます。
そんなときに引っ越ししたら?
メダカにとっては大きな負担です。それが理由に落ちちゃうメダカもいます。そのため、秋の今のうちから準備しておくというのがとても大切なことです。
さあ、もし今の季節が秋なら40cm程度の深い容器を準備して、そちらに選別したメダカちゃんたちをお引越しさせ、冬を迎えましょう。
次回は「飼育密度」の話です。
(つづく)